肺の病気が進行すると肺の機能が低下して、呼吸をしても体の中に十分な酸素を取り込めない状態になることがあり、これを慢性呼吸不全と呼びます。体が酸素不足になると息切れがひどくなり、少し動いただけでも苦しくなってしまうのです。そうなると外出はもちろん、着替えや入浴といった家の中での活動さえも難しくなり、生活の質が大きく低下してしまいます。このような状態を改善するために行われる治療法が、在宅酸素療法です。
在宅酸素療法とは、その名の通り自宅に酸素濃縮装置を設置し、そこからチューブを通して鼻から酸素を吸入する治療法となります。不足している酸素を補い、息苦しさを和らげることが可能です。常に機械につながれると聞くと不自由な生活をイメージするかもしれませんが、実際はそうではありません。酸素濃縮装置はコンセントがあれば家中のどこでも使えますし、外出時には携帯用の酸素ボンベを使用します。ボンベをカートに乗せて引けば買い物や散歩、友人との食事、旅行に行くことも可能です。
在宅酸素療法の一番の目的は、息苦しさを軽減して患者さんが自分らしい日常生活を取り戻すことと言えます。酸素をきちんと吸入することで心臓への負担を減らし、病気の進行を穏やかにする効果も期待できます。機械の操作や火気の取り扱いなど注意すべき点もいくつかありますが、こうした治療法があることで患者さんは住み慣れた自宅で、家族と共に穏やかな時間を過ごせるのです。医療の進歩は、療養生活の選択肢を大きく広げていると言えるでしょう。